ドラマー、体のケア

以前ドラびでおこと一楽儀光さんが腰痛によりドラムを引退なさることになり、少なからずショックを受けました。

http://doravideo.net/

今後はDORAnomeという音と映像を操る楽器をメインに活動していくそうですが、腰痛で引退とはなかなかひとごととは言い切れません。腰痛、痔などはプロドラマーにとっては職業病です。

例えばヘヴィロックバンドのKORNの元ドラマー、デイヴィットはパワーヒッターすぎた為に肘の骨が腕の神経を圧迫し数曲叩くと腕が動かなくなるという症状が起き手術をしました。またSEX MACHINEGUNSの元ドラマー上野浩二さんも持病の椎間板ヘルニアの悪化のためバンド脱退を余儀なくされました。またX JAPANYOSHIKIさんもヘッドバンキングと強引なプレイスタイルにより頚椎椎間板ヘルニアや神経循環無力症を度々発症、手術もしています。2バスメタル系の方は特に体を壊しやすい傾向にあるようです。

このような体への負担を少しでも軽減するのに脱力のスタイルが必要になってきます。そしてプレイ後の体のケアも大事です。

個人的にもセルフケアについてはとても悩んでいたので友人のスポーツコーチに相談したところ、

●プレイ後のクールダウン、ストレッチ
●41度程の湯船に20分浸かる

というアドバイスを頂きました。
また長期的な故障の予防策としては、

●必要な箇所に筋肉をつける
●関節の駆動域を広げる

ということも大事になってくるようです。

飲酒量が増えると肝臓の働きに血液が集中するので、筋肉の質が低下するようです。血流が良くなるトマトや質のいい大豆系たんぱく質を取るなど、食生活にも気をつけられると良いでしょう。

とにもかくにも、ドラムという楽器を長く楽しむためにも皆様あまり無理をなさらずにご自愛くださいませ。

基礎練習/8BEAT

現在のポピュラー音楽においてなくてはならないもの、それが8BEATです。
リズム&ブルースからドラムによるBEATが強調され、
ロックの誕生により跳ねたBEATから少しずつ真っ直ぐなBEATへ移行してゆきました。

どったっどどたっどどたどっどたっ!

"たっ"という部分がスネアドラム、"どっ"という部分がバスドラムで、
その二つの太鼓でリズムにバリエーションをつけながら、
ハイハットシンバルで8分音符を刻み続けるのが8BEATです。

スネアドラムは左手、バスドラムは右足、ハイハットは右手と叩き分けなければならないのがドラムの肝でして、英語表記だとドラムはDrumsになるのですが、その名の通り沢山の太鼓とシンバルなどをその身一つで叩いてリズムを作らなければならないのです。

とは言ってもやってみるとなんだかんだでできるもの。

まずはスネアにハの字にスティックを構えてそのまま右手をハイハットに移します。
右足はバスドラムのペダルに構えて、左足でハイハットのペダルをしっかりと踏みながら、

右手でハイハットシンバルを鳴らしてみましょう。

ちっちっちっちっ…

右手でハイハットを4回鳴らす間の3回目にスネアを左手で叩きます。

ちっちったっちっ…

はい、ここまではそこまで難しくはないはずです。
ここに右足でバスドラムを入れます。

どっちったっちっ…

これができたら合格です。ドラムの世界へようこそ。

この基本のちっちったっちっ…のバスドラムのパターンが変化したベーシックパターンをメトロノームを使って練習してゆきます。初めはBPM60〜80程度の叩きやすいテンポで8分クリック。慣れてきたらテンポアップして90〜120程度のミドルテンポ。そしてそれ以上のアップテンポ。

テンポアップしていくためには正しいストロークとを身につけなければなりませんし、それを怠ると綺麗に叩くことが難しくなります。

さらに音符感や安定感を高めるためにクリックを4分にしてテンポをゆっくりしてみましょう。基礎力が高くないとBPM60などでビートを刻むのが難しく感じるはずです。クリックの鳴っていない8分を感じ取ることが重要です。

ここからさらに応用として4分のクリックを8分の裏で取る練習をします。

ぴっ…ぴっ…ぴっ…

というクリックが

んっぴっんっぴっ…

と感じることができれば正解です。そこに8BEATを合わせて練習します。
それを可能な限り高速化して安定感を出します。

さらに進化すると2拍3連のクリックに合わせて8BEATを叩いてポリリズム感を養います。
8分音符と3連符の関係性は2拍3連を×2の×2にしてみると8分音符のグリッドに乗ってくるので、その鳴っていない部分を感じることがキーポイントになります。

またビートにアクセントをつけたり、ノリを出したり、8BEATを極めることはものすごく奥が深いのです。

基礎練習/チェンジアップ

チェンジアップとはなんぞやと申しますと、
基礎中の基礎、ドラムにおいてはギターの運指の練習よりも大切かもしれないキングオブ基礎練習です。大体のプロは欠かさずやっていると思います。


まずはスネア(パッドでも良し)にハの字に構えてもらいます。
そして順繰りに4分 8分 3連 16分 6連と叩き分けていきます。

まずはオルタネイト(左右交互)から
ワンツースリーフォー…

ちなみにBPM設定はYAMAHA系だと90から110くらいで、
念入りにやる場合は60くらいから110くらいまで少しずつ上げていきます。

これは音符感を丁寧に身につけてゆく練習です。

また順繰りから逆に32分 6連 16分 3連 8分 4分ともどっていきます。
どうしてもつっこみがちな手数が減るパターンになれてゆきます。

これに慣れてきたら今度はストロークを整えます。
フィンガーショット、リストショット、アームショットを使い分けて、
サウンドストロークが均一になるように練習します。

クオリティーを上げるにはさらに8分クリック、裏クリックにしたり、
順番を入れ替える練習、バスドラムを入れる練習、左始まり、
ダブルストロークでと、これだけで奥深くかなりの練習になるでしょう。

さぼらずにちゃんとやりましょうね。

スティックの選び方

はてさて、ドラマーにとってはなくてはならないもの、それがスティック。そいつがいなくちゃ商売あがったり、それがスティック。プロにとっては箸よりも長い時間握るもの。そんなドラマーにとっての相棒は信頼のおけるものであって欲しいですよね。
しかし、これがまた沢山の種類がありますが、初心者にとっては魚の種類ぐらい違いがよく解らないものだと思います。しかし、全て同じに見えてしまうその中にも様々な音やスイング感覚の違いがあり、その上同じ型同士でも10g近い固体差があったりするので僕は絶対に通販とかせず、楽器屋で一つ一つチェックしてから買うことにしています。
ちなみに楽器屋には大体g単位の秤が置いてあります。
さて、そうは言っても何がどう違うのか、そこんところをちょこっと今回は解説させて頂こうかと思います。

まず、スティックなのですが握る部位を
■グリップ
(そのまんまですね)先端に向けて細くなっている部分を
■ショルダー
先っぽのチョンっとついてるドングリみたいなのが
■チップ
と言います。

グリップに関しては握り、特にニスの仕上がりによってはやたら滑るものがあったりするので、そういったところを吟味しつつ自分でしっくりくるのを選べば良いと思います。テープを巻いたりするのもありですが、僕の場合短く持ったり、逆さに持ったりでサウンドを変えたり、レギュラーとマッチドを使い分けたり、スティック回したり色々とするのに、むしろテープは邪魔で、手に汗をかいたりすると逆に滑りやすくなるので使いません。
僕はショルダーに関してはあんまり気をつけてないないのですが、チップはざっくり言うと2種類、ドングリ型と球型があって、僕はドングリ型が好きですね。球型の方がサウンドにばらつきが出にくく、ドングリ型はニュアンスが出しやすいです。ちなみにナイロンチップというのがあり、チップをナイロンでコーティングしていて、チップを使った叩き方のサウンドの質感がぱりっとしてくるのですが、これを使う1番の利点は、使い込んでもチップが欠けないということです。チップが欠けると欠け方にもよりますが、つまったような大分残念な音になります。チップが欠けたらスティックは交換することをお勧めします。

サウンドという意味合いにおいて、スティックには
■ヒッコリー
■オーク
■メイプル
の主に3種類の素材があり、それぞれ音の特性が違います。最もポピュラーな素材でドラムスティックの大半をヒッコリーが占めています。適度な硬さ、重量でコントロールがしやすく、僕も今のところヒッコリーを使っています。一応ヒッコリーを標準とするとオークは大分硬くハードな印象で、メイプルは柔らかいです。

あとこの3兄弟とは別にAHEADというちょっと敵か味方か解らない子がいます。この子は樹脂素材と金属でできていて、もうスウィングの感じからサウンドまで別物です。こいつはセイント聖矢でいうとフェニックス一輝ですね(世代じゃない人すいません)w単価は高いのですがとても丈夫です。主にメタル系ドラマーに愛好されていてこれはスネアのシェルのウッドと金属の違いに近いですね。温かい質感や倍音は期待できないですが、故にソリッドです。

基本的に木の素材のスティックは同じメーカーで同じ種類でも固体差があり、やはり芯があるほうが響き、また柔らかい方が暖かく広がります。

あと長さに関しては僕は大は小を兼ねるので短いスティックは好まないですかね。
重さはやはり出したい音圧を考えてチョイスしたいところだと思います。勿論手元でも有る程度はカヴァーできますが。重いスティックのほうが圧のある音像が獲得できると思います。

とまあスティックというのは、サウンド作ることにおいて重要なファクターであり、バンドのサウンドにあったスティック選びができると上級者と言えるのではないかと思います。

reggaeのドラミング

ボブマーリーで有名なレゲエという音楽はそもそも、ジャマイカ発祥でカリプソを母に持っています。カリプソはバナナボートに代表されるカリブ海の音楽です。1920年代にカリプソアメリカでブームとなり、またアメリカからはR&Bがジャマイカに入って来ます。カリプソを土壌に持ったジャマイカのバンドがジャズのホーンセクションを取り入れてR&Bのカヴァーをし始めたのがいわゆる"レゲエ"の前身である"スカ"の始まりでした。ちなみにスカというのはスチャスチャというギターの裏打ちのサウンドのことです。このスカが世代交代を経て歌に比重を置いたロックステディというジャンルが台頭し、BPMは下がり、ホーンセクションは減り、少しずつベースが強調され、ピアノが電子オルガンに変化しながらレゲエへと深化をしていきました。

スカ、ロックステディ、レゲエに共通して言えるのは本来スネアを鳴らす3拍目ににバスドラムがくるということがロックと違うところになります。またスネアはハイピッチで浅い胴鳴り、クローズドリムショットを多用します。スカはシンコペーションを含むパーカッションのようなハイハットが特徴で、レゲエはシャッフルとレギュラービートを混在させたポリリズムや粘りのあるグルーヴやサウンドシステムというジャマイカ特有のカルチャーが生み出された"ダブ"というサウンドエフェクトなどを使った、リバーヴ感が特徴です。またビートに関しては以下に分類できます(以下wikiより転載)。

ワンドロップ
1拍目にアクセントがなく、3拍目のみがスネアドラムのリムショットバスドラムによって強調される。カールトン・バレットが開発したとされるこのリズムは、レゲエを特徴づける要素の一つである。代表的楽曲はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「ワン・ドロップ (One Drop)」など。

フライング・シンバル
ワンドロップのドラムに、通常はギターやキーボードが強調する2拍目、4拍目をハイハットのオープンショットによって強調する奏法。1974年にカールトン・サンタ・デイヴィス が開発し、1975年まで流行した。代表曲はジョニー・クラーク 「ムーブ・アウト・オブ・バビロン (Move Out of Babylon)」など。

ロッカーズ
ルーディメンツを下敷きにしたマーチングバンド風のフレーズをスネアドラムで叩く。その戦闘的にも聞こえるビートから「ミリタント・ビート」とも呼ばれている。スライ・ダンバーによって開発された。代表的楽曲はマイティ・ダイアモンズ 「アイ・ニード・ア・ルーフ (I Need A Roof)」(1976年)など。

ステッパーズ
スライ・ダンバーが開発した4拍子の4拍すべてに固い4つ打ちのバスドラムを打つリズムである。代表的楽曲はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「エクソダス」など。この曲でカールトン・バレットは、4分の4拍子を刻む4つ打ちのバスドラムに8分の6拍子を刻むハイハットの3連打を絡めている。

1971年、ポールサイモンが"母と子の絆"という曲でレゲエを取り入れたあたりから、スティーヴィーワンダー、ポールマッカートニー、エルヴィスコステロ、ローリングトーンズ、クラッシュ、ポリス、ABBAなどのアメリカやイギリスのミュージシャンがレゲエを取り入れ、エリッククラプトンはボブマーリーのI shot the sheriffを歌ってアメリカのチャートで1位を取りました。またレゲエのトースティングという歌唱法はヒップホップのラップの下地となったと言われていて、ロックステディのベースフレーズがサンプリングで多用されるなど、様々な音楽への影響を残しました。またスカはイギリスのユースカルチャーや音楽と結合して独自の進化を辿っていきました。その辺りのごちゃ混ぜなレゲエやポリスやクラッシュのようなロックレゲエのスタイルも取り入れてみると面白いかもしれません。またドラムンベース、ジャングル、レゲトンなどへ派生していったジャンル等も知っておいて損はないでしょう。


Bob marley "no woman no cry" 1979