クラフトワークとエレキドラム

坂本龍一さんが所属する日本を代表するテクノグループと言えば勿論YMOですが、彼らが音楽性やコンセプトを決めるのにモデルとしたのがドイツのバンド、クラフトワークということはあまりにも有名な話です。

クラフトワークは電子音を音楽に用い始めた前衛音楽家シュトックハウゼンに影響を受けがら、パンクムーブメントを横目に、シンセサイザーの流通を機にテクノというジャンルを形成してゆきます。
初期メンバーには同じくドイツを代表するバンドNEU!のメンバーもいて、その音楽性が混在していてとても面白いです。メンバー入れ替えを気によりテクノな方に傾倒してくのですが、その音楽性は同時代的にはニューウェーヴというジャンルに派生し、デヴィッドボウィにも影響を与え、前述のYMOは相互的な影響下にあったとも推測されています。

クラフトワークは現在はMACを並べてほぼ音源を流しながら視覚的な作品を愉しむスタイルになっていますが(紅白でサカナクションが真似していましたね)初期はドラムを叩いていましたし、フルートがいたり、ギターがいたりするのですが、少しずつドラムもシンセドラムになり、シンセサイザー主体になってゆきます。ビート自体は同時代のクラウトロック同様シンプルでソリッドな8beatで、ピストルズのようなエモーションもなく、冷たく機械のように、それこそがクラフトワークのテーマでもありました。自らをマシーンに見たててのパフォーマンスなども少しずつ確立し、未来派としてのイメージを全面的に背負うことで人気を確立していったのです。

最近では高性能なエレキドラムもありますが、パッドをセットに組み込んだり、バスドラムだけパッドにしたりという半々くらいのセッティングがレディオヘッドやジェイムスブレイクの影響もあり多い気がします。エレクトロニカ系ではクリッチノイズや環境音との同期が必要なためにPCがエレクトロでドラムはあくまで生というパターンも多いですね。サンプリングの台頭や、DJ的なセンスという部分でも生ドラム感への回帰は00年代以降の流行でもありました。

基本的にはパッドやトリガーを組み込んだセットの場合、エレキ部分のベロシティー(音量やニュアンス)は演奏中にほぼ調整できないので、音作りから音符感など丁寧な演奏が要求されます。またクリックを使った同期演奏なども突っ込んだら終わりくらいシビアなテンポ感覚が要求されるので、クリック練習が必須になるのでドラマーは大変かもしれませんが、逆にテンポキープをクリックに預けられるので、クリックなしの演奏時に油断しがちなので注意が必要です。